中野湧斗
所属プロジェクト:創作
後藤研究室
渡邉拓実
所属プロジェクト:音響
亀川研究室

黄瀬:
ごきげんよう。
東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科、プロジェクト音響所属の黄瀬と申します。このラジオは、2024年12月14、15日に東京藝術大学千住キャンパスにて開催される「千住アートパス」の企画の一つとして収録されています。
音楽環境創造科、通称「音環」の学部一年生がそれぞれトークテーマや個々の活動について話しながら、「何をしているかわからない」と言われることもある音環での学びについて、それぞれの視点から発信していきます。
題して「音楽環境放送科」!
それでは早速今回のお二人をご紹介したいと思います。ではお願いします!
中野:
こんにちは。プロジェクト創作の中野湧斗と申します。よろしくお願いします!
渡邉:
こんにちは。プロジェクト音響、渡邉拓実です!
黄瀬:
始まりましたということで、今回はトークテーマを設定するのを忘れたのでフリートークです今日は!(笑)
渡邉:
びっくりしちゃうね、どうしようかと思った(笑)
黄瀬:
そもそも二人ともあんまり話してるところ見ないからね。
渡邉:
そうだね。あんまり絡みがない。
中野:
いい組み合わせよね、全部。
黄瀬:
絡みないよね、あんまり。いや楽しみ。
でもなんか、一応共通点とか考えてたんですけど、この二人の。学外で活動してるイメージが二人ともあるなっていう。サークルとかやってるし、それこそ湧斗は演奏会この間学外でやってたと思うし。まぁその辺りも聞いていけたらなと思ってますが。
渡邉:
その演奏会の話ちょっと聞いてみたいんだけど。あれどこから話しもらったの?
中野:
スタインウェイっていうピアノが大好きで、ピアノ始めた時にピアノの先生がそのピアノを三台持ってて、一台1500万円くらいの(笑)何もわからんかったけど、「いいピアノじゃな」と思って。で、東京来て本社があるっていうのが分かったから、遊びに行ったんよ、ふらっと。そしたら「弾いていいですよ」って言われたから弾いて、そこにおったお客さんのリクエストに応えよったらオーナーが出てきて、後ろから。「君いいね!コンサートしてみない?」って言われて(笑)
渡邉:
そんなことあんの!?(笑)
黄瀬:
かっけぇ(笑)
中野:
そこで「音環です」って言ったら、「あ、音環ね!」みたいな。
黄瀬:
あ、伝わったんだ!
中野:
そう!今激アツらしい。スタインウェイの人からすると。
黄瀬:
最初はじゃあピアノの演奏ひとつでオーナーさんの心掴んだみたいな。
中野:
掴んじゃったんすよねぇ、これが(笑)
黄瀬:
すごいな、そんなコンサートだったんだ。
中野:
そうそう、それで会場を貸してくれて。「音環の人とやったら面白いんじゃない?」みたいな。
ピアノ科は毎年やってるらしいんよ。でも「クラシック飽きちゃった…」みたいな(笑)「壊してくれ!」って言われたから。もう二人誘ってね、音環の。
渡邉:
なるほどね。だからふらっと行って声かけられたみたいな感じなんだ。
中野:
そうそう。
黄瀬:
へぇ〜、その話めっちゃすごいね。
渡邉:
普通におもろ話だ。
中野:
そうそう、言うなればデビューだよね(笑)
渡邉:
おめでとうございます(笑)
黄瀬:
いやびっくりしたもん、なんか。「え、この人御曹司なんだ」と思った(笑)
中野:
違う違う(笑)
渡邉:
ピアノの中でもかなり有名なメーカーじゃん、スタインウェイって、それこそね。
黄瀬:
すごいね。同期のヴァイオリン弾ける子と打ち込みマン(笑)
中野:
作曲スピードがおかしい打ち込みマンを(笑)誘ってね。
黄瀬:
行きたかったんだよなぁ、行けなかったから。
中野:
ここの二人来てないからね(笑)
渡邉:
それに関する感想が一切話せないっていう(笑)
黄瀬:
お客さんもさ、結構…
中野:
満席!満席です。
黄瀬:
おめでとうございます!大成功と聞いてますよ。
中野:
ありがとうございます。
黄瀬:
あと、拓実は私から見るとすごいサークルを…他の大学のね。
渡邉:
そう、他大のサークルに…
中野:
あれはサークルなん?なんか「今日はこのバイト!」みたいなストーリーが上がっとるから。
渡邉:
そうそう、いろんな大学行って、それこそこの前は東京女子大学っていう大学の学園祭の裏の音響入ってそれでステージ動かしたりとか。ずっとスタッフやってる感じかな、今は。
中野:
え、それこそそれはどっから依頼が来るん?
渡邉:
それは今自分が入ってる、まぁ早稲田のサークルなんだけど、そのサークルに依頼がきてそこから「どうですか?」っていうのが仕事一覧みたいな感じでバッて。そこに「行きたいです」って言うと、来るみたいな。
黄瀬:
会社じゃん(笑)
中野:
それは報酬はいただける?
渡邉:
早稲田の東京女子大学の時は報酬なかった。あともう一個別のサークルで、それはね、声優のイベントとかをやってるサークルなんだけど。そのサークルはいろんな企業さんからお話もらって、スタッフとして派遣してることが多くて。この前成田でそれこそスタッフのバイト、一日バイトしてきたんだけど、そんなことをしてます。
黄瀬:
全部PAみたいな感じで入ってるの?
渡邉:
えっとね、さっきの成田のやつはPAじゃなくて本当にただのスタッフバイト、イベントバイトって感じで物販とかそういうバイト、よく大学生がやってるような。で東京女子大学とかあとはそれ以外のやつは基本PA で自分は入ってるかな。
黄瀬:
へぇ〜、もう現場仕事してるね。すごいな、経験値が溜まりそうだね。
渡邉:
そう。やっぱね、音環って実はPAとかあんまりやらないじゃない。あるにはあるけど、レコーディングとかがメインだから。それをPA経験はそっちのサークルで積んでいこうかな、みたいな。
中野:
なるほどね、ちゃんと考えて!
ちゃんとしてそう(笑)入学のイメージだと、もうすごい計算して入ってきてそう、音環に(笑)ちゃんと自分の就職のことも考えて。
渡邉:
まぁ就職はね、一応考えてる。自分は就職希望だから。音環ってどうなんだろうね、就職志望者。自分はあんまりいないんじゃないかって思ってるけど。
黄瀬:
志望者はわかんないけど、何があるんだろうね。
まぁでもいわゆる「行方不明」が多いんじゃない?
中野:
あれガチなんや(笑)
黄瀬:
まぁ院進もあるから、卒業時点ではね。
就職ね…そう、プロジェクト音響とかは結構学部のうちに培ったスキルがそのまま仕事になったりするから、そういう意味では結構アクチュアルな話になるよね。
それこそでも湧斗がいる創作とかはわからないよね…
渡邉:
何してんのか俺もわかんない。
中野:
やばいよ!?絶対これで繋がらんもんなっていう(笑)
ほんとに先輩によってはマジで意味わからんことしとるやん。
黄瀬:
側から見るとそう見えるよね。
渡邉:
意味わからんことの例が欲しい!
中野:
なんか密室で骨をカッターで切るみたいな…
渡邉:
よくわかんなかった(笑)
中野:
それが何に繋がるのか本当に分かんないっていう。やってること美術だし、みたいな(笑)
黄瀬:
確かに(笑)
いやそうだよね!創作って結構「あれ、美術学部?」みたいな作品も多いし。
中野:
特に後藤研はね。
黄瀬・渡邉:
確かに(笑)
黄瀬:
やっぱりアートパスで目立つのってそういう作品とかだったりするよね。
渡邉:
まぁ見ててね、見映えするしね、そういう作品ってね。
中野:
見てる分には楽しいんじゃけど、自分がこれやって何になるんだろうっていう悩みがある、今。
黄瀬:
なるほどね。
今湧斗がやってるものはどうなの?自分的には。
中野:
俺は未来考えて、音環だけでできることじゃなくて、例えばピアノっていうのが軸にあるから、プラス即興演奏やってきたから、音環卒業してもいいようにそういう作品を作りたいと思ってるけど。結構周りのみんなは音環でしかできないことをやってるかな。
黄瀬:
そうだね、音環でしかできないことっていうのは?
中野:
某「打ち込みマン」はどでかいプロジェクター、7ホールのスクリーンとか、あとそこにしかない音響設備、スピーカー。あんなんないやん、普通のホールに。とかやろうとしてるから、すごいなと思って、その勇気が。
黄瀬:
設備をフルに使うっていう、確かに。
中野:
そうね、だから怖いよね就職が(笑)
黄瀬:
結構分かんないよね(笑)
卒業する時点で自分ができることを売り込みに行くタイプの就活をしてる人が多いと思うから、その時点までに、4年以内に何をできるようになっておくかみたいな。
渡邉:
意外と4年ってないんだよね。
黄瀬:
ね!もう私たちあれですよ、1年生終わりですよ(笑)この間あったばっかりなのに去年のアートパスなんて(笑)
渡邉:
びっくりしちゃうよね、本当に。
黄瀬:
でも充実はしてたよね。
中野:
え、パーソナリティ黄瀬ちゃんはどう考えてんの?4年後。
黄瀬:
4年後ね、私は今のところは院進をしたいなとは思ってて、今は音響にいるけどこれ以降は毛利先生のアートプロデュースのプロジェクトにいこうと思ってるし、自分は専門にしてるのがジェンダー論とか社会学系の方だから、できるんだったらその研究をちゃんとやって修士まで行ってから終えたいっていうのはあって。
中野:
修士まで行ったら…
黄瀬:
そう、出ることになるよね。だからそこまで自分を食わせるまでの仕事はちゃんと見つけなきゃな、とは思うけど。
渡邉:
まぁでもジェンダー論極めてってもいいと思うけどね。
黄瀬:
日本って文系の研究者に予算降りないから…(笑)
中野:
じゃあ教授路線もあるってこと?
黄瀬:
教授路線ね(笑)まぁ確かに(笑)
やりたいことだけやってくんだったらきっとそうなる道も、でも教授ってどうなんだろうね…
すごい一年生の時に考えたことがあってさ、ざっくり言ってね、研究者の道とアーティストの道と、みたいなのがあったとして、何が違うかって言ったら「大学の中で自分のやりたいことをやって人に伝える」のが研究者の方で、「外に出てって、その辺を歩いてる人に伝わるようなものを作りたい」っていうのが多分アーティストなのかなって私は思ってて、そこを考えた時に私は結構で大学の中でリテラシーのある人たち相手に、みたいなことなのかなって、私がやりたいことっていうのは。
本当にブレブレ(笑)なんか一個経験するごとに「やっぱこっちか」みたいな(笑)
渡邉:
あるある(笑)まだ全然ブレるよね。
中野:
いいんじゃない?入って良かったとは思うよ。
黄瀬:
それは本当にそう。私も思う。
てかさ、湧斗のピアノ歴を改めて聞きたいんだけど。
渡邉:
確かに。
中野:
じゃあこの前のスタインウェイのホームページに載ったプロフィールがありまして。初めてアーティストプロフィールというものを書きまして。
渡邉:
いや、カッコいいよね!あれね。
結構憧れるのよ、アーティストプロフィールっていうのに(笑)
中野:
そうそう、服部さんに撮ってもらって。読みますね。
「岡山県倉敷市出身19歳。14歳の時にピアニスト・辻井伸行さんが演奏するラ・カンパネラに衝撃を受け突如ピアノを習い始める。クラシック以外にジャズや即興演奏も行う。今までに山本あきひこ氏に師事。東京藝術大学音楽環境創造科一年在籍。」
なので、14歳、中2と中3の間くらい…
渡邉:
に始めてそこからあんなにスラスラ弾けるの!?
中野:
それみんなに言われるんじゃけど…
黄瀬:
いやだってさ、私たちが知ってるピアニストって言ったら、音楽学部の上野の方にいるピアノ演奏家の子とかはさ、生まれた時から家にピアノがあって、親もピアニストでみたいな…結構ザラだから。それを見てきた身からすると、14歳から始めて、しかもきっかけも辻井伸行さんなんだ。
中野:
の、なんかテレビでやってるやつ。目が見えないじゃん、あの人。まぁそういうの関係なくエグすぎた、あの演奏。本当に感動して、「え、目見えてない!」みたいな。「ラ・カンパネラかっこよ!」みたいな。それでそのまま先生のところに行って。
渡邉:
行動力が段違い(笑)
中野:
まぁおばあちゃんとかがピアノやってて、家にはあったんよ。で、おばあちゃんのツテで紹介されたところに行って「カンパネラ弾きたい!」って言って(笑)
渡邉:
すーごい(笑)
黄瀬:
当時中学生の湧斗少年が(笑)
中野:
「弾きたいんだ!」って言って(笑)で先生が「弾いてごらんなさい!」って。
黄瀬:
いきなりやらないでしょ(笑)
湧斗:
そう、耳コピしたところまで弾いて。
黄瀬:
えーそうなんだ!?
え、ピアノに触り始めるまでは、耳コピできるってことは別に楽譜とかには経験があったみたいなこと?
中野:
えっとね、中1で吹奏楽部に入ってフルートを、だからト音記号は読めた。
渡邉:
あーなるほどね!あるよね!
中野:
そう。しかもC管だからちょうど同じ、ピアノと。
だから楽譜はト音記号だけ読めて、まぁでもカンパネラの楽譜は持ってないし頑張ってYouTubeで聴いたりとかして持っていったの。そしたら「お、いいじゃん!いけんじゃん!」って(笑)
黄瀬:
すごいなぁ(笑)いけるわけないだろ、なんでいけたんだよ(笑)
中野:
でもいけたんだよね。無理矢理、手の運動。
黄瀬:
でもみんな結構その話聞いてさ「やぁ湧斗まじ天才だわ」とか言うけど絶対筋肉の努力があるはずだと思うんだよね。
中野:
元々そのサッカーやってて…
黄瀬:
あー、反復練習みたいなものに抵抗がなかったのかな。
中野:
そう、事故で右足骨折って飛び出て、サッカーは絶たれちゃったんで…
黄瀬:
そんなバックボーンまであったんだね。
中野:
そうそう、でもうハァ…ってなってて。
渡邉:
じゃあ吹奏楽やり始めた理由はなんなの?
中野:
は、お母さんがフルートをやってて、でフルートが家にあって。で骨折したのが小5で小6までできんくて、サッカー。で中1でもう一回サッカー復帰するか、「まぁ家にフルートあるし吹奏楽部行ってみよう」って。
黄瀬:
サッカーボールかフルートか(笑)
渡邉:
究極だよな、二択が、あまりにも(笑)
中野:
そう、でフルートやったら面白くてっていう…
黄瀬:
ちょっと面白すぎるな。
中野:
確かに、サッカーの話は言ってないか。
でも吹奏楽をやってたんやろ?渡邉は。
渡邉:
そうそう、俺も吹奏楽ずっと。小4からユーフォニアムで。
中野:
小4!?なんで小4でやる機会があるん?
渡邉:
自分千葉なんだけど出身が。千葉の小学校って部活があるのよ。小学校4年生から入れる部活があって、うちの小学校は吹奏楽。で隣の小学校はオーケストラだったりしたんだけど。でうちも両親が元々吹奏楽をやってたりしてたから、「やってみなよ」みたいな話になって、楽器どうする?って話になるじゃん。で「ユーフォをやってみたら?」っていうふうに言われて。でユーフォって金管楽器の中で一番音が出しやすいのよ。一番最初に音が出やすいから楽しいっていう。ホルンとかやってる同期いるけど、ホルンってまじで最初音を出すことが大変だから…
黄瀬:
ね、そうだね。音出るまでに一年みたいな感じらしいし。
渡邉:
そうそう。だからやっぱり自分は飽き性な部分があるから、最初に音出るところから始めれば楽しいよねっていう話だったのかもしれないけど。でそのまま続けたみたいな。
中野:
木管っていう選択肢はなかったん?木管とかパーカッションとか。
渡邉:
木管ってリードがあるじゃない。リードって消耗品なのでお金がかかるんですよ。
中野:
あ、なるほどね(笑)
黄瀬:
リアリストな小学生(笑)
渡邉:
そう、お金がかかるから、それもあって金管楽器かなみたいな。
中野:
フルートかかんないけどね?(笑)
渡邉:
そう、フルートかかんない。で、しかもユーフォって当時人気ないからやりたいですって言えば絶対できたんだよ(笑)ユーフォとかテューバ、あの同じような楽器群って絶対人気がないので絶対に余るんですよ(笑)
だから「やりたいです!」って言えば絶対に通るっていうのがあって。変えることもなくずーっと今。
中野:
それを高3まで?
渡邉:
そう、高3まで。で今も楽器はあるからちょいちょい吹いてる。
中野:
そのオケ系のサークルには入ってない?
渡邉:
入ってないけど高校のOBOGバンドみたいなのがあって、それが年一回演奏会があるからそれに乗っかったりとか。
黄瀬:
続いてるんだね。
それさ、演奏家じゃなくて音響系の仕事に行こうと思ったりして音環に来たきっかけは?
渡邉:
自分の高校の先輩が音環出身だったの。それこそ音環出身の先輩がいて、自分は作曲とかは全然興味なかったんだけど自分の高校の講堂に音響機勢がいっぱいあって、でその音響機材をいじっていいよって言われたから、わーいって言っていじりまくってたの。それが楽しくなっちゃって、で音響やりたいなって思って。で音響やれる大学って少ないわけよ。まぁここか九大の芸工とかで、関東は残りたかったからじゃあここかぁって(笑)
黄瀬:
いきなりめっちゃ二択になって(笑)
渡邉:
ほなここかぁって言ってここに来た(笑)
黄瀬:
でも中高のうちから触ってたっていうのは納得かも。入って来た時点で知識量の差がエグすぎて、プリジェクト音響の中でも。「あ、これはこれだね」とか言いながら触り始めるから…なんでわかんの!?みたいな(笑)
渡邉:
触ってたからね、それはね。
中野:
そういうことか。概説の授業でもなんかえぐいなって思ってたら。
渡邉:
そうなんだよ。教授と話が通じるっていうまず感動が(笑)
中野:
プログラミングとかできそう。
渡邉:
プログラミングはね…でもあんまり手つけてないよ俺は。正直全然やってない。
中野・黄瀬:
またまた(笑)
黄瀬:
はぁ〜、中高時代ねぇ…
吹奏楽多いよね。「あなたも吹奏楽通ってるんですね」っていう人が多い。
渡邉:
まぁ大体どこにでもあるしね。吹奏楽部って。
中野:
あれ、(黄瀬は)吹奏楽部ではない?
黄瀬:
全然。私は演劇部だった。楽器はね触ってないですよ。エレキギターとかしか触ってない。
渡邉:
でもそこから声楽に行ったのはなんでなの?
黄瀬:
元々それこそ、小学生1年生くらいの時から合唱団に入ってて、聖歌隊なんだけどすごい希少性の高い合唱団で。どういうことかというと少年合唱団なの。だから大抵ソプラノアルトは女性、テノールバスは男性なんだけどソプラノアルトも男性ソプラノ、変声前の男の子がやるっていうコンセプトで。だから団員がみんな男の子っていうところにいて。それが世界に幾つかしかない編成らしくて、めっちゃ有名で。鎌倉が本拠地なんだけどそこから活動始めて演奏旅行でイタリアとかスペイン・ポルトガルとか行って聖堂で歌う、みたいなのをやってて。なんだけどその時私耳コピで歌ってたから楽譜がなんも読めなくて、ヘンデルのメサイアとかさ、フルで歌ってたんだけど楽譜知らんから隣のアルトの子が歌ってるのを聞いて、「じゃあこの辺かな」って思いながらずっと歌ってたのね。
でもそれは趣味だったんだよね、歌が好きな子ぐらいだったんだけど、だんだん進むにつれて、高校の皆が進学を考えるタイミングで「あ、居場所がないな」と思って(笑)
渡邉:
突然!?(笑)
黄瀬:
もうなんか、「ないわ」と思っちゃって。でそれで行けるところ探したら音大しかなくて、で一旦藝大じゃない別の音楽大学の声楽科に本当に運よく現役で…
中野:
読めないのにね?(笑)
黄瀬:
そうそう、本当にそうなんだよ(笑)だから高3の秋くらいに楽典の勉強を始めて、でそこで一旦「じゃあ声楽科だね」になるんだけど、そこで勉強してるうちにまた「居場所がないわ」ってなっちゃって(笑)
渡邉:
ここにも居場所がない(笑)
黄瀬:
なんか、その理由はちょっと通じるかわかんないんだけど、西洋音楽の権威主義みたいなのにすごいピリピリ来ちゃって。どういう意味かっていうと、結構音楽大学の特徴として何百年も前の作品をずっと歌い続けるわけじゃん?でそれを守り続けるっていうところだと思うんだけど。だから声楽科にいる学生とかは大きい声を出せたらもちろんいいし、良き響きを持ってるほどいいし、この楽譜をより高い精度で再現できたら素晴らしい、成績あげますっていう音楽教育なんだけど。その、たとえばモーツァルトの楽譜を再現できたらなんですごいのかとか、「モーツァルトがなんで素晴らしくて、なんで今の世も最高峰とされるのか」みたいなことに対して結構みんな考えないというか、目を瞑っている節があるなっていうことをすごく感じてて。ある日すごい有名な歌劇団があって、そのコンサートに行ったわけですよ。で、モーツァルトが作った演目を観せてもらって、とんでもない人たちしかいないわけ。体が楽器みたいな、指の先まで振動してますみたいな歌を歌う人。しかもそれがアンサンブルでいるわけよ、主役だけじゃなくって。それでバーって浴びて、もう皆感動、スタオベみたいになってるんだけど、その時の私は「何がいいんだろう…」みたいな。なんで電車が走ってビルが建って皆スマホを持ってるのに、今の世の中とは全然違う世界を創り出すわけじゃん。でそれを再現してるわけじゃん。だから当時その楽譜に感動してた300年前の人たちとかは全く違う感性を持ってるはずなのに同じものに対して同じ拍手しか送らないってなんなの?ってすごい思って。
中野:
すごい、深い。
黄瀬:
そこでさ、私はもうガン萎え着席なわけ。だけど周りはスタンディングオベーションだから、温度差がやばすぎて(笑)「ここにも居場所がない」って思っちゃって。で次の日から大学集中できなくなっちゃって。どうしようってなって、その時大学行くんだけど授業出れないから図書館に言って自分の読みたい本をずっと読んでたんだけど、そういうのをやれる場所ってないのかなって探した時に毛利さんの著書を見つけて。
中野:
あ、著書入り!?
黄瀬:
そう、「アフターミュージッキング」っていう本なんだけど。それに出会って「この人めちゃくちゃ自分と考えてること一緒だな」みたいな。「この人に話聞いてもらいたい!」って、それで来たんだよね。だから全然演奏してる人たちとは入口も違うし。
渡邉:
確かに、考えてみたら不思議だよね。
中野:
考えたことある?「なんでこの曲がいいのか」って。
渡邉:
「なんでこの曲がいいのか」?自分はないかも…自分そんなにクラシック通ってないから多分そこもあるかもしんないけど…
中野:
なんでなんだろうね、うわそれめっちゃ深いわ。
黄瀬:
深いかな(笑)でもなんかそれをもちろん音楽文化としてみた時に何百年も守られることはもちろん意味があると思うし、それがなされることによって文化がより発展するし、過去の反省もできるしっていうことが可能になるからもちろん歌い継がれることは大事なんだけど、それに対する批評は絶対必要だなっていうのはあって。
だしそれは多分クラシックだけじゃなくて今作られてる音楽に対しても逐一「これってこういう側面もあるじゃん」とか「こういう人を無視してるじゃん」みたいなことをいちいち言っていく人は必要だなと思ってるんだよね。
渡邉:
いるべきだよね。
黄瀬:
そう。最近ほらMrs. GREEN APPLEのMVが大炎上したじゃないですか。
中野:
あー、炎上したね。
黄瀬:
そう、あれとかはどういう経緯かは私は知り得ないけど、まぁ出てしまったことから読み取れるものは、あんまり背景とかを大事にしない人がいるんだなっていうのはあると思うし…
中野:
なるほどね。
黄瀬:
というね(笑)
それを今生きてる時代に対してやっていきたいっていうのが私の入学志望動機かな。
渡邉:
なら本当にそれこそうちの学科って幅が広くて視野広めに持ちましょうよみたいなのは実際にあるから、ミセスの話も多分「視野が狭い」、自分の分野以外のことを知らないっていう状況が引き起こしたっていうのは考えられるよねっていうところで、よかったんじゃない?うちの学科に来て。
黄瀬:
ね。私も本当に良かったと思う入って。
中野:
すげぇ、ちゃんとしとるな。音響もやりたいし、じゃその…すごい、素晴らしい(笑)
食らってるわ俺。
渡邉:
じゃあ中野はピアノ弾いて、で、なんでうちに?
中野:
そう、考えたのが、別にクラシックだけをやりたいわけじゃなかった、遅いから。クラシック一本っていうのは考えられんくて。まず母上から「国立ですよ」って言われて、「あ、藝大か」と(笑)
黄瀬:
そうだね、そこで一択になるね(笑)
中野:
一択になりまして、別に楽譜も高2くらいでやっと読み始めたんよ、ヘ音記号とか。だから作曲も書いてやったことはないと。で別にクラシック一本でやるつもりもない。じゃあ器楽科でもないし作曲科でもない、どうしようみたいな。
渡邉:
とりあえずピアノはやりたい(笑)
中野:
そう!ピアノが楽しくて、続けてるだけなんよ。俺のやってる理由は楽しいだけだから、探して「音環ってやつがある!」みたいな(笑)
渡邉:
なんかある!みたいな(笑)
中野:
そう(笑)
で「ここ入れるんじゃね?」みたいな。やっとる理由が楽しいからしかないから、黄瀬ちゃんみたいに「なんでこれが美しいんだろう?」とか考えてなくて。おもろい!みたいな。それができそうなのは音環、みたいな。あと、後付けになるかもしれんけど、昔って作曲者と弾く人は同じだったわけじゃん、リストとかすごい上手いし、作れるし、みたいな。
渡邉:
そうだね。
中野:
でもなんか、今上野は器楽科と作曲科分けてんじゃん?「分ける意味なくね?」って。だからここに来てやりたいのは、楽しいピアノを作るし、他人の曲も弾くしっていう元の、昔ながらのを今風に…
黄瀬:
現代でもそれはできるんじゃないかっていうふうに
中野:
そう。できるんじゃないかここならばっていう感じですかね。
だから受ける時点ではそんなに深いこと考えてなかったんですけど。すごいだから入ってから困ったよね。「何がしたいんだろ俺?」みたいな(笑)
黄瀬:
あ、困ってたんだ!結構側から見てると明確だなと思ってたよ。
中野:
あぁそう?
黄瀬:
そう、自分の、それこそスタインウェイのコンサートもそうだけど自分がやりたいこととかできることをしっかり把握した上で挑戦してる感じがあるなと思って。
渡邉:
一本筋道が通ってるなっていうのはすごい思う。
中野:
そう感じてた?俺はスタインウェイの話を頂いたくらいに「俺は何者なんだろう」みたいに考えてはいた。
黄瀬:
でもあそこで作品出してたよね。自分で即興とかもやってたし。見つめ直せるのはすごいよね。
中野:
めっちゃ考えた、それ。最近固まった。
黄瀬:
本当!?聞かせてほしいその暫定の答えを。
中野:
一言で言うと「令和のリスト」になります。
黄瀬・渡邉:
おー!!!
渡邉:
言うね、いいじゃん(笑)
中野:
なんでかって言ったら、リストは即興もするし作る作品もレベルが高い、で革新的なこともめっちゃやってて。アイドルグッズってあんじゃん?あれ始めたのってリストなのよ。
渡邉:
え、どう言うこと?
中野:
リストが、超イケメンって言われてて…
黄瀬:
あ、そういう人気商売みたいなことも始めたのが
中野:
そう、始めたのがリストで。
リストって高身長、イケメン…
黄瀬:
やば、スパダリじゃん。
あ、ほんとだ!鼻筋が通ってらっしゃる。
中野:
そう、「リスト様〜」って感じだったらしいんよ、今でいう。
渡邉:
黄色い声援が送られてくるみたいな。へぇ〜!
中野:
リストが登場した瞬間に3人くらいぶっ倒れるみたいな。
黄瀬:
え。マイケルジャクソンじゃん(笑)
中野:
そうそう(笑)だから革新的なことをやってんじゃん。「あれ、これ目指せばいいんじゃね?」みたいな。
黄瀬:
なるほど!じゃあまだそう言うクラシックのコンサートに持ち込まれてないものを…
中野:
そうそうそう!
黄瀬:
へぇ〜!楽しみです!
中野:
昔はそれが新しかったわけじゃん?クラシックって。別に新しかった。だから「それでいいんじゃね?」って言うふうにまとまって。
最近本当に悩んでた、ずっと。
黄瀬:
悩んでたんだ。
中野:
みんなにはそう見えてなかったって言うのが驚きだわ。
渡邉:
ピアノっていう軸が一本あるから…
中野:
あー、そういうこと?そう取られてたんだ。ピアノは個性でもなんでもないと思ってた。
黄瀬:
楽しくて自分がのめり込んでるだけで、ピアノは自分のものとは思ってなかったってことか。
中野:
そうそう。弾ける人いっぱいおるし、上野とか。
黄瀬:
わかんないね(笑)
渡邉:
分かんないよね〜
中野:
そう、悩むよ。
渡邉:
それこそうちの学科ってなんでもできるからね。そういうところは悩ましいよね。
中野:
そう、だからめちゃくちゃいいと思うよ、音環って。物申したいところはたくさんあるけど言わないでおこう(笑)
一同:
(笑)
中野:
そうか、アートパスに来る人に向けてか、これ。
なんの役に立ってんだ、このラジオ(笑)
黄瀬:
(笑)まぁでもそもそもこのラジオが始めた理由は音環生何してるか分かんないじゃん?だから具体的に普段どういうことをしている人がいるのかっていうのをちょっとでも見れる機会になったらいいなっていうのが一つと、もう一個は来年以降来る人が、今一年生が喋ってるけど来年から展示を出し始めるわけだから、来年来て「この人あの時喋ってた人じゃない!?」みたいな面白がり方してくれたらいいなっていうのもあり…
渡邉:
人となりを知ってもらうっていうね。
中野:
こんなに喋ってたいそうなことを叩いとるくせにこんなもんかよみたいな思われる可能性も…(笑)
渡邉:
可能性もあるよね(笑)
黄瀬:
だから作ってる人と作品が見れるところになったらいいね。
渡邉:
確かにね。
中野:
じゃあ役に立つこと一個。
この前コンサートした時に、このラジオを聴いてくれとるか分からんけど音環の受験します、みたいなここが来てくれて。その時の質問があって、その子もピアノやってて、ただピアノをちっちゃい頃からやってて、ピアノをやってるっていう、ピアノを弾くんだったら上野でいいはずなのに、音環にもピアノを弾く人はいるの?って聞かれて。全然いいんじゃない?全然それはありよっていう。そういう質問があったので、そこは自由だと思うっていうことだけ。
渡邉:
それこそ藝大っていう環境だから、「大学生っぽいことできないんじゃない?」って言われるけど、私みたいに他大のサークル、他もいるけど演奏系のサークルに行ってる人もいるし、他大のサークル、自分は企画系のサークルだけどうちのサークル入って大学生っぽく、いろんな芸能人とか呼んで企画するとか、PAやるとか、そういうのも全然できるからあまりそこに関する心配はしなくても大丈夫かなっていうのは私は思う、かな。
中野:
そうね。俺とか人混み苦手だから逆にめちゃくちゃいい!北千住っていう離れた地で…
黄瀬:
人少ないよね!
中野:
そう、俺上野行って、毎週。それでもやっぱ多いなと思うんよ。
黄瀬:
駅から多いもんね。なんか毎日日曜日みたいな。
中野:
上野キャンパスに通う学生だとしたら俺早々に終わってた。ドロップアウトしてる可能性があった。
渡邉:
千住ね、人がいるかいないか分かんないキャンパスって近所の人から思われてるらしい。
黄瀬:
近隣の人たちここが何かわかってないらしいしね(笑)
中野:
ここのキャンパスは結構いいと思う。
黄瀬:
はい!ということでお二人をお呼びして、大学入ってからの活動と、これまでに至るまでの個人史を話してきましたけど、なんか最後に言いたいことはありますか?アートパスに向けて
中野:
ぜってぇ見てくれよな!
一同:
(爆笑)
渡邉:
すげぇこと言う(笑)
黄瀬:
まぁ、そうだよね(笑)
中野:
まぁ、楽しみに(笑)温かい目でお願いします。
渡邉:
まぁたいそうじゃないかもしれないけど、面白いものをみんな作ると思うので、多分。それぞれの個性が出てるものしか作れないので、我々は(笑)
中野:
そうです、本当に。
渡邉:
どっかが尖ってる人間の集まりではあるから、「自分尖ってないよ!」って思う人でもどっかは尖ってからっていうので。個人を見に来るって言うか、「面白い人間が面白いことをしているのを見にくる」っていう意味でアートパスには期待してほしいなって思うかな。
中野:
すごい!やっぱすごいわ!(笑)
黄瀬:
乞うご期待ということで、じゃあ今日は二人ともありがとうございました!
中野・渡邉:
ありがとうございました〜
黄瀬:
バイバイ〜