木野村朱音
所属プロジェクト:創作
研究室未定
黒木珠海
所属プロジェクト:アートプロデュース
熊倉研究室

黄瀬:ごきげんよう!東京藝術大学 音楽学部 音楽環境創造科 プロジェクト音響所属の黄瀬と申します。
このラジオは、2024年 12月14,15日に東京藝術大学千住キャンパスにて開催される「千住Art Path」の企画のひとつとして収録されています。
音楽環境創造科:通称「音環」の学部一年生が、それぞれトークテーマや個々の活動について話しながら、「何をしているか分からない」と言われることもある音環での学びについて、それぞれの視点から発信していきます。
題して「音楽環境放送科」。
しゃお:プロジェクト創作、研究室絶賛迷い中の「しゃお」です。
ろきた:こんにちは、プロジェクトアートプロデュース 熊倉研究室所属の「ろきた」です。お願いします。
黄瀬:忙しい中ありがとうございます...さっきまで走ってましたね、「ろきた」さんは。
ろきた:そう、さっきまで廊下で走り回ってた(笑)
しゃお:「ろきた」がいちばん忙しそうだもんね、今。
黄瀬:この収録って熊倉研のイベントの本番の前日..
ろきた:前々日だね。
黄瀬:前々日か。
しゃお:あさって本番?
ろきた:そう、あさって本番。.. あさって本番!?
黄瀬:(笑) そのイベントの話聞いてもいい?
ろきた:えっと、熊倉研究室の中にはさらに、自分が所属するプロジェクトっていうのがあって。
「メモリアルリバース千住」..これは「音まち千住の縁」っていうプロジェクトの中のひとつでちょっとややこしいんだけど。
「ワンデーパフォーマンス表現街」「取手アートプロジェクト」「谷中のおかって」とか、色んなプロジェクトがあって。そのひとつの「メモリアルリバース千住」というプロジェクトにわたしが入ってて、その本番が、明後日あります。
黄瀬:それの準備期間はどれくらい?
ろきた:まる1年。
黄瀬:うわー、じゃあ1年の集大成みたいな。
ろきた:ほぼどのプロジェクトも年に1回だから、それに向けてずっと準備してきて、本番にお客さんが来てもらえるためにプレの授業(?)とかもやってて。ちょっと小規模な本番みたいなのをいろんな場所でやってそのたびに宣伝して……みたいな感じのこともやってて。だから本当にまる1年かけてるプロジェクトになってますね
しゃお:アープロだねー。
黄瀬:楽しみ。
ろきた:楽しみにしてて〜〜(踊る)
黄瀬:やめて、ラジオで踊るの(笑)
しゃお:何も見えない、踊っても。
黄瀬:このラジオのゲストって比較的あんま話してるところ見たことない2人を選んでるんだけど、今回はガチ友達ということで、、
ろきた:「ガチ友」ね。
しゃお:サシで話したことあるね、この3人ね。
ろきた:アツいね。
黄瀬:上野の中華料理屋で小籠包をつつきながら、世の中への恨みを..
しゃお:怒りを発散してた(笑)
黄瀬:そのことを直接やっちゃうと、普通にコンプラに引っかかっちゃうので、ざっくりと話したいんだけど(笑)
色々話してるけど、結局中心になるのはジェンダーの話だよね、主に。
ろきた:そうだねー。
黄瀬:自らを取り巻いている日本という国の、ジェンダー状況のヤバさ!
一同:(笑)
黄瀬:わたしがそもそも、(この大学で)ジェンダー論をやりにきました!みたいなことを最初から言ってたから、それで話しかけてくれた感じがあったけど、あんまりそれまでは身近な話題ではなかった?
しゃお:そうだね。少なくとも、ジェンダーに関する話を今まで高校とかで友人としたことはまず無いかな。
自分がジェンダーに興味があっても、周りがあからさまに興味がないっていうか、当事者じゃないって感じを出してたから話を振りづらいし。
黄瀬:そうなんだよね。ずっと思ってるんだけど、「あ、ジェンダーね(笑)」みたいな。
しゃお:なんかさ、世間から冷笑されてそうな感じちょっとあるね。
黄瀬:そうなんだよ。もう「ポリコレ(笑)」みたいな揶揄をされ始めちゃってるなって肌で感じるし。
その話題を持ち出すこと自体が自分を危険に晒すことだったりするから、かなり話しづらいとは思うんですけど。
聴いてくれてる人の中に「あ、(話して)いいんだ」と思ってくれたらいいなと思って、今回は話題に出そうと思ってますけど。あんまり肩肘張らずに(笑)
しゃお:ちょっと小籠包がないと、シリアスにな感じになるけどね。
ろきた:架空の小籠包を一旦ここに用意して、つつきながら話すと...あ、今黄瀬さんがね、小籠包用意してる
黄瀬:これが海老で...これ柚子で
ろきた:ああ、今見えてきた小籠包が(笑)
しゃお:美味しかったねあれは。
プロショウロンパーの木野村さん...「しゃお」っていう名前なんだけど。
しゃお(以下木野村):今ネタバレされた、素性を(笑)
黄瀬:なんのための名前だったの?(笑)
木野村:いや全然大丈夫だけど(笑)
木野村さんプロショウロンパーなのでね。
黄瀬:「いつから?」とか聞いても...何も出てこなさそう(笑)思いつきで言ってるだろ!
木野村:いや、でもろきたが小籠包食べたことないってぼやいた瞬間から、僕はろきたに小籠包の味を思い知らせるためだけに。使命を持ってる。
ろきた:導かれたんだよね。
黄瀬:いいんだよ小籠包の話は(笑)
ろきた:いやでも、プロショウロンパーとして遊んだ時に、しゃおからジェンダーの話題を振ってくれて。直接話したのそこが初めてだったよね、ジェンダーのこととかを。
それで黄瀬さんとこの話したい、ご飯食べたい、ってなって...誘った。
黄瀬:ありがとうございます。わたしもまわりに話してる人はほとんど居なくて、家でもそうだったし。「あ、はい、ジェンダー、はい、わかった。」って言う雰囲気だったりしたから。
すごい現実的な問題というか、身近な問題じゃない?セクシャリティって誰でも持ってるものだし、当事者が特別いるわけではないって言うのはずっと思ってて。
確かにマイノリティは日々社会から隔絶されてるから考える機会が多いだろうけど、今あるジェンダーの規範に従って生きてる人達だって、「なんで就活の時ヒール履かされるんだろう」とか、「なんでメイクさせられるんだろう」とか、感じてる人は絶対いると思うし。
そういう人たちにも開かれるものになれば本当はいいんですけどね。モヤモヤはある。
木野村:話題に出しやすい環境が整えばいいなと思う。
ろきたと2人で遊んだ時に自分から話題を振ったけど、結構(その話題について)話す前からろきたとは世間話とか色々したじゃん?
ろきた:うん。
木野村:それを踏まえて、「多分ろきたはこの話しても絶対否定しないでいてくれるだろうな」ってわかってた上で、普通に話すとき怖かったから。
ろきた:めちゃくちゃ緊張してたもんね。
木野村:そう、超緊張したし。信頼、信用があっても怖いっていう現状だから、現代の社会が。「触れやすさ」の整備は全然整ってないなって言う感じはする。
黒木:私は逆に、高校まで男女別学の学校だったから、なんとなく「多分自分はノンバイナリーなんだろうな」っていう自覚があったんだけど、周りに比較対象がいない状態だったから。周りとかで「そういうのって思春期にあるよね」とか、「今(男女別学の)こういう環境だから、そう思うんだよ」っていうような言説を聞いたりとかして、自分が本当にどういう状況なのかわからなかったから。
藝大に来て、初めて比較対象とか近しい考え方の人がいるっていう環境を味わってる。
(ジェンダーの話題を)言うことに対してそんなに抵抗とか恐怖はなかったんだけど、逆に音環のリテラシーが高すぎて。現実世界に出て行ける気がしない。
木野村:あー、それは思う。多分社会に出たらこう..なんかうまく受け入れられるわけじゃないんだろうなっていうのは、音環の温かさに触れてから、その懸念が増してる。
ろきた:わかる(笑)
黄瀬:その音環の温かさの原因って、人数にあると思ってて。
二人:たしかに。
黄瀬:一堂に会するとしても多くて20人ぐらいじゃん。だから一人一人の話を聞いて回る余地がある。だけど、社会がそうはいかないし、企業とかは大人数をまとめなきゃいけないからね..。効率化をしなきゃいけない。
この前2人には見せたけど、わたしが趣味でGoogleフォームを作って、「アルバイトの履歴書に性別記入欄が必要かどうか」を自分のインスタのフォロワーだけに簡易アンケートを取ったんだけど。
その時の必要だと思った(人の)回答理由の1番上が「効率化に繋がるから」っていうもので。
木野村:ちょっと嫌疑のかかる3文字だね。
一同:(笑)
ろきた:オブラートに包んでる(笑)
木野村:オブラート100枚くらい包んでる(笑)
黄瀬:実際そうだよね、管理する側からしたら。やっぱりわたしたちってある程度自分のことについて話す自由を与えられてるからそういう主張ができるのであって、最低限自分の情報を簡単な言葉で出さなきゃいけないってなったら、どう考えても面倒な存在ではあるから。そこに隔たりがあるなって思う。
木野村:自分が結構もやもやするのは、三人称で。身体の性別で分かれてるじゃん、彼/彼女って。
それで明確に「この人は自分を身体の性別で認識してるんだな」ってわかっちゃうのがグロい。
黄瀬:グロいね。本当にさりげないからさ。
木野村:向こうに悪意がないから、それが本当にグロい。
黄瀬:止めたら悪者になっちゃうのが...どちらにも悪意がないからさ。どうにも度し難い。
木野村:悲しいね。
ろきた:ジェンダーのことを説明しようとすると、一般的にみんなが持ってるジェンダーって「私は女性です」って言った時に、みんなが想像する「女性」に自分が完全に当てはまってるならその2文字で説明が終わると思うけど、色んな事情がある中で説明しようとすると、簡潔な言葉で説明ができないから、それがすごい面倒くさがられてる原因でもあるんだろうなと思いつつ。
逆にその説明する猶予が与えられないなら、短いよくわからない単語で説明するよりかは、もう「静かにしておこう」っていう選択になっちゃう。
黄瀬:うん、それは取る手としてはいいと思うけどね。でも、その選択を否定したいわけではないけど、自分が沈黙することで自分個人は守られるかもしれないけど、「ここにいるんだから、主張すれば良くない?」っていうのは…。無視させないために。結構わたしはいつもそう思ってラディカルに声を上げちゃうタイプなんだけど。
ろきた:めっちゃ尊敬するよね、見てて。
木野村:ほんとにねー。
黄瀬:いや..。
一同:(笑)
木野村:あれみたいだね。音環の先輩が言ってたんだけど、「音楽環境創造科ってなんなの?」って全然知らない人から言われた時に、説明がめんどくさいから、もう諦めて「作曲とかです」って一言でまとめちゃう感じ(笑)
黒木:あー、たしかに(笑)
木野村:作曲以外にもいろんなことやってるんだけど、一番人に簡潔に伝わって、面倒が起きなさそうな無難に選ぶっていう。あれに似てる。
黄瀬:どちらも外の人たちにはあんまり理解されてなくて。
木野村:そうそう。
黄瀬:言葉を尽くすしか説明のしようがないから、雑に投げちゃうみたいなのあるよね。
ろきた:尽くしたいなぁ、言葉を。
木野村:一緒に尽くす?
黄瀬:尽くしたい!尽くす時間がそもそも用意されてるかっていうことが..。
木野村:ちょっと話し逸らす、逸らさないけど、逸らすけど。
二人:(笑)
木野村:ジェンダーってひとまとめに言ったら、この場では主に性自認の話が中心になってると思うけど。
黄瀬:うんうん。
木野村:でも、性的志向とか恋愛志向も多分その話題には含まれるじゃん。
ろきた:うん。
木野村:で、これ別に自分は隠してないから言うんだけど、アセクシャルでアロマンティックだから。誰にも恋愛感情抱かない/性的対象じゃないわけですよ。
でもバイト先の子たちとか皆「彼氏欲しい」「彼女欲しい」「そう思わん?」みたいな。
「思うよね?」いや思わないんですけど…!う〜ん(首傾げ〜)
二人:(笑)
黄瀬:(お茶濁し〜)
木野村:あ、「パン売らなきゃ〜」みたいな。
黄瀬:パン屋さんなんだ
ろきた:職務を全うしてるね
木野村:職務を全うするしかないですね。
ろきた:3人は違うもんね、恋愛志向とか性的志向に関しては。
黄瀬:そもそも、まだ説明する言葉を見つけられてない側面もある。
二人:うんうん。
黄瀬:今日の概説3の授業二人ともいたっけ?
二人:いた。
黄瀬:あのさ..。
ちょっと待って、これラジオで伝わるように話すにはどうしたらいいんだ(笑)、授業の内容を説明するしかないのか。
木野村:(言葉を)尽くす!
黄瀬:ブラックミュージックの話をしてるじゃん、授業で。音楽と人種の話で、「黒人アーティストが身体的に優れていて、あまり頭を使わない享楽的なダンスミュージック、リズムに比重を置いた音楽をやっている」っていうイメージは罷り通っているけど、実際それは白人社会が作り上げてるものであって、人種の移り変わりが激しい黒人っていう括りで見る時には、色んなアイデンティティがそこにあるはずで。
自分は黒人としての顔もあるけど、アメリカに住んでるし、デトロイトに住んでるからこういうリズムに慣れ親しんでるし…みたいな。色んなエッセンスがそのアーティストにあって、作品にも表れてるんだけど、それをひとつのアイデンティティで見ようとすると、見落としてしまうものがある、っていうのが今日の後半の授業の内容だったと思うけど。
わたしはそれを聴きながら、完全にジェンダーとかセクシャリティとかに通ずるなぁと思って。
ろきた:うんうん。
黄瀬:あんまりそれを意識しない人達と違うところって、一個用意されてるアイデンティティ、例えば「女性」「男性」に完全に自分が当てはまってると思う、もしくは思い込んでると思うから。
それ以外の可能性を考えないと思うんだけど。
でもふたつ以上のアイデンティティが自分の中にあると、説明する言葉が見当たらないし、見つかったとしても一部しか説明できないという状況になったりして余計混乱するのかなって。
話コロコロするけど、全ての人にノンジェンダーであれ!みたいなことは思ってないんだよね。それが伝わらない気がする。
ジェンダーの話を持ち出すと、「男とか女とか言うのやめましょうよ!」っていつも言ってる人みたいになっちゃって。
そういうわけではないんだけど(笑)
ろきた:「女性」とか「男性」としての意識がみんなに当たり前にあるように、自分の中にそういう意識がない人間であるとっていうのを素直に認めてほしい。
木野村:あー、そうだね。そういう概念を持ったことがないって言うことがないから。
ろきた:(笑)
木野村:寄り添おうとしても、完全に理解はし合えないんだろうなって。理解し合えない中で探り探り、どうやったら向き合えんのかな、寄り添えんのかなっていう。こっちもそうだし、理解しようとしてくれてる人達はそうしてくれてると、信じたい。
黄瀬:信じたい。
LGBTQとか、それに準ずるセクシャリティの人達のコミュニティとかは、親しい人に当事者がいて、活動に参加し始めたとかが多いと思うから。
そういう情緒的なやり取りを考えていって欲しいんだけど、みんな、効率化とか言い始めるから(泣)
二人:(笑)
木野村:疑わしいですね。
ろきた:なんのために効率化するんだよって感じだけどね。
人間性を捨てることで効率化を目指すのが人間のためになる社会でいいのか!みたいな(笑)
黄瀬:話デカ(笑)
すごいね、今急に地球儀に銃口突きつけてた。
木野村:でも確かに効率化を求めるなら、それを性別に紐づける意味あんま無い気がする。
黄瀬:それで測れるものがあるのかな?
木野村:身体的性別における性差みたいなものを考慮してるなら、別に女の人だって力に自信ある人いるし。逆も然りだし。
ろきた:平均筋肉量が違うからみたいな話はわかるんだけど。わかるんだけど、それで判断して欲しくない。
最近プロジェクトの中で重い荷物運んだりとかあるんだけど。
黄瀬:うんうん。
ろきた:最初、「重いから代わるよ」みたいなことを言ってもらえる時があって。
だけど、私はそれを望んでないとしても、優しさとしてやってくれてるわけだし、実際その人の方が筋肉量あるのはわかってるから。
だから最近私は、「力持ちです!」って言う。
二人:(爆笑)
ろきた:相手に対してマイナスなこと言いたいわけじゃないし、ただ事実として私は力がありますよっていうのを言いたいから、「力持ちだから運べます!」っていうアピールを積極的にしてる。
黄瀬:いいんじゃない、そうだね。荷物運ぶ上では力持ちであることに変わりは無いし(笑)
木野村:でも、ある。そういう紳士的な振る舞いをされるのが、逆に痛いみたいなのめっちゃある。
黄瀬:そうだね。荷物運ぶ時とかは本当に向こうに筋肉がある場合とかはフラットに見てもいいかもしれないけど。
異性同士のご飯で、奢りがどうのこうの、どっちが奢ります?みたいな話とかさ。えぇ!?いつの時代の話ですか?って。
ろきた:うわっ!
木野村:割り勘一択じゃないんですか?
黄瀬:あれが生まれた経緯としては、高度経済成長期に田舎から若者が出てきて、お見合い結婚から自由恋愛に変わっていって、自分が異性としてどれだけ魅力的かをアピールするためにいろんな手法が編み出されたと思うんだけど、そのなかで「男性の魅力」と言ったらやっぱり「経済力」だったのかなって。で、それを見せるために「お前のメシぐらい奢ってやるよ」っていうアピールができたと思うの。
それは歴史の中で必然だと思うし、名残が残るのもわかるんだけど、例えば大学生のカップルで、バイトも同じくらい入っていて、稼ぎもそんなに変わらないみたいな関係性の時に「いやでも男が出すでしょ」みたいなことをやるのは、「それは何に頼ってんだろう?」っていうのがある。
別にそれをすることでその人の…なんていうか…。(机の上で手を捏ねる)
木野村:伝わらないよ(笑)マイクの前で手をこねこねしても。
ろきた:(笑)
黄瀬:語彙を捏ねてた(笑)
その人のパーソナリティが深まることってあんまりないと思うし。
やっぱり「性別」自体が持ってる魅力みたいなものに寄りかかってるんじゃないかな。それって不誠実じゃないですか?って。(笑)
ろきた:しかもさ、そういう関係性になりたくないからこそ「割り勘にしよう」って提案すると、「なんだコイツ可愛くないな」みたいな。「思い込みをされるので(割り勘の提案は)やめましょう」って書いてあるサイトがあったりとか。何なのそれは。
黄瀬:モテテクみたいな?
ろきた:そう。別にモテテク見てる人じゃないよ(笑)
木野村:(笑)へー。
黄瀬:疑わしいね。
ろきた:疑わしい(笑)
黄瀬:もうこれ「疑わしいラジオ」だから。
2人:(笑)
黄瀬:なんか他に共有したいことあります?
ろきた:はい!
黄瀬:はやっ挙手(笑)
ろきた:ごめんなさい(笑)
ちょっと(この前)、帰り道に電車に乗っていて、隣に高校生二人組がいたんだけど、その1人が…
ショッキングな内容を話すから、心して聞いてほしいんだけど。
「自分は同性愛者のことをめちゃくちゃキモいと思ってるんだよね」って言い始めて、もう1人の子が、「え、そう?自分はそうは思わないけどね。多様性の時代だし。」って。
黄瀬:(苦笑)
ろきた:どっちも引っかかる言い回しはあるけど、そのあと会話は続いて。
「いやだって、逆に(友達)が同性愛者だったらどうする!?」「いや、別に大丈夫。」「えっ、気持ち悪くない?」って。
しばらくそういう会話をしてたんだけど、「なんで気持ち悪いと思うの?」って1人の子が聞いた時に、「だって意味わかんないじゃん。」って答えてて。
気持ち悪いとか拒絶の理由って、「意味わからない」がスタートなんだ、って。内容自体もだけど、そこにすごい驚いたというか。
黄瀬:なるほど。
ろきた:意味わからないもの=拒絶になる社会って…ちょっと芸術とかそういうところにも関わってくるんじゃないかな!?って!
2人:(爆笑)
黄瀬:何今の走り抜け(笑)
木野村:急カーブ曲がってきたね今。
黄瀬:急にこっち向かってきてびっくりした。
ろきた:(笑)
木野村:キキー。
ろきた:どうですか?っていう。
黄瀬:いやでも、そうなんだろうなと思う。
逆に理由があって気持ちが悪いとかだったら、それについては論破もできるし、もう関係ないとも言えるというか。それで割り切れちゃうけど、理由がないのは「共感できない」から、「わからない」ものに対して拒絶反応があるのは珍しいことではないのかなと思う。
ろきた:たしかに。
木野村:困りましたね。
黄瀬:…そうなんですか?
木野村:大変困りましたね、わかんないなぁ。
そういうのってなんか、国語とか英語とか好きな子が数学に対して拒否反応を示すのと同じような文脈なのかな。程度っていうのは。
それとももっと深刻な嫌悪感を以てして発言をしてるのか、切り取られた部分だけではわからないけど。
ろきた:聞けばよかったね。
2人(笑)
ろきた:「ちょっと質問いいですか?」って。
黄瀬:ダメですよ、正真正銘の異端者になっちゃうから。
木野村:グロい(笑)
ろきた:狭い、静かな電車の中でね。
黄瀬:怖すぎるよ(笑)
今の話の本筋とは違うかもしれないけど、「(友達が同性愛者だったら)どう思う?」って何!?
なんであなたにどうか思われなきゃいけないの?っていうのはすごくある。
ろきた:なんかでも共感求めてる感じではあった。
黄瀬:「こっち側」みたいな括りが見えるよね。
ろきた:気持ち悪くない?っていう提唱(?)をした子は、今世界がすごく多様性に向かってるけど、それが自分はわからないから置いてけぼりにされてる感覚ががあったのかなって気がする。世界が自分の意味わからない方向に向かってるっていう。
黄瀬:あ、それは感じてる人多いだろうね。
なんか、インターネット見るにYouTubeとかinstagramのコメント欄とか見てると、ほんとに混乱してるんだなぁって。
当事者の中でも「こんなに急進的にLGBTQ+フレンドリーとか言わなくていいよ!」って言ってる人たちもいるし、「いやもっとこうするべきだ」っていう人もいるし。ちょうど本当に過渡期なんだろうなって思う。
これからどうなるか、普通に今生きてるわたしたちの身振り次第だなって。
ろきた:アツいね。時代の波の渦中にいるんだ今。
黄瀬:いやー苦しいよね…でもそう、いいことではあると思う。
木野村:まあでも自分は、これから「自分のことをクラゲだと思ってる」って、人に主張していこうかなって思って。
黄瀬:もう少し詳しく、大きな声で話してもらっていいかな?
全員:(笑)
木野村:クラゲかなーみたいな。結構クラゲじゃない?
ろきた:髪型ですか?
黄瀬:くらげウルフみたいな?
木野村:(笑)そうじゃない!
クラゲってフラットじゃん、あいつら。あれを見て「オスだな、メスだな」とか気にする人そんなにいなくない?結構そういう感じじゃない?
黄瀬:会話を感覚に頼りすぎだな!
全員:(笑)
木野村:だから、人々が水族館でのクラゲに対する目線を、こっちにもインストールしてほしいの。
黄瀬:あー。
ろきた:あー、クラゲとして…(笑)。
黄瀬:まあでも同じ社会に参加していく上では難しいんじゃない?クラゲと一緒に仕事できないじゃん。
2人:(笑)
ろきた:たしかにね?
木野村:難しいか。
黄瀬:同じだけの権利を持ってる存在として見る時に、「自分はいつもこれだけのことと戦ってますよ」ってことと比べ合わなきゃいけないから。
木野村:クラゲじゃ不足?
黄瀬:クラゲは、無理。
全員:(笑)
黄瀬:実際でもさ…ふざけてたけど、今(笑)。
2人:(笑)
ろきた:取手キャンパスに行った時、「オールジェンダーレストルーム」って書いてあって…お手洗いなんだけど。感動したんだよね。
取手にあるんだ!?って思った。
黄瀬:たしかし!上野キャンパスはさ……(震)
ごめん、また怒りが…。
ろきた:(笑)
木野村:いいよ。
黄瀬:上野は音楽学部の生協の2階に一個だけある。それ以外は二種類しかないけど、そこだけオールジェンダートイレがあって。
木野村:へー。
黄瀬:で、千住はない。
ろきた:ない!
木野村:ねー。
ろきた:音環なのに!
黄瀬:そう、音環なのに!
木野村:ほんとにねー。
黄瀬:多機能トイレしかないからね。まぁまぁ、オリエンテーションの時に「千住はジェンダーレストイレないので、ここ使ってください」とは言ってた。お触れはあるんだなって感じ。
ろきた:でも音環が藝大の中で一番そういうことに対して敏感でありたいよね。
黄瀬:そうだね、社会学をがっつりやる研究室もあるし、近いとは思うけど。
まあでも今年、ようやくジェンダー論が授業として開講されたりしたわけだから、これからって感じじゃない?
ろきた:わたしたちにかかってるじゃん。
木野村:そうだよ。時代の波がきてるから。
それに乗るのは、オレたちだ。
2人:(笑)
黄瀬:「オレたちだ。」のポーズにしてはちょっと…ダサすぎるかも。
木野村:なんだよ。オブラートに包んでよ。
ろきた:見えないけどね(笑)
黄瀬:ダサすぎる(と思う)!
全員(爆笑)
黄瀬:大丈夫かなあこのラジオ。
こういうオープンに話せる場所がありますよって、発信したいです。
ろきた:そう、音環ならね。
木野村:音環だからね。
黄瀬:あと6分くらいで終わるんだけど、話してないことあって。
浅草のもんじゃ焼き屋さん行った話したっけ?
2人:してない。
木野村:え、小籠包を差し置いて?
ろきた:あ怒ってる怒ってる(笑)
黄瀬:違う違う、わたしが普通に行った時に(笑)。
目の前に台があって、店員さんがそこで焼いてくれるスタイルだったんだけど…
あれこれ話さなかったっけ?
ろきた:聞いた。
木野村:聞いてない!
黄瀬:あ、だよね。
その時、わたしに「ネイルかわいいですね」「え、ありがとうございま〜す」とか言ってたんだけど。
「LGBTの方ですか?」って。急に(笑)。
木野村:ド直球(笑)
黄瀬:「失礼なんですけど、LGBTの方ですか?」って言われて、「え、めっちゃ失礼ですね!」って言って(笑)。
「すみません、実は友達にそういう子がいて、わかってあげたいなって思ってるんです。どうしたらいいですかね?」って聞いてきたの。
私は、「いや、人によってしてほしい対応って違うと思うし、とりあえずあなたにちゃんと話してくれてるんだったら、信頼されてると思うから、直接聞くのがいいと思いますよ。」って、めっちゃ説教みたいなこと言っちゃったの。(笑)
木野村:おー。
黄瀬: それでちょっと溝を作って、店員さんどっか行っちゃったのね。
それが食べてる時もすごい気になって。明太もんじゃとか食べながら、「どうしたらよかったんやワイは…」って。
2人:(笑)
黄瀬:でも、会計の時にちょうどその店員さんが(たまたま)レジ担当になって。気まずい感じでやりとりしてたんだけど、別れ際に「さっきはすみません、ちょっとデリカシーなかったです。」って言ってくれて。「全然私もちゃんと対応できなくてすみません」みたいな話をして。最後に握手して帰ったんだけど(笑)。
ろきた:まとまっている!
木野村:相互理解。
黄瀬:その体験って、私にとって絶望であり希望だったのね。「そういう感じになっちゃうか…」もあるし、でもしっかり話す機会さえ設けられれば、お互い分かり合える…じゃないけど共存できるんじゃないかなって感じた経験ではあって。
だから、お互い本当に混乱してるんだな世の中。言う側も言われる側も、言葉が正しいかとか、そう受け取ったらいいかとかをまだ試行錯誤している段階なんだなって思いましたね。はい。
木野村:理解しようとしてくれてるのが嬉しいね。
ろきた:そういう知識とか、認識や共感とかが全くなくても、拒否してるわけじゃなくて理解しようとする気持ちを持ってくれてるなら、私としては直接聞いてほしいなって思ってて。それでありえないを質問されたとしても、理解しようとしてくれてる上での質問だったら、こっちも頑張って説明するから。知らないままにしておこうとされるよりは、聞いてくれた方が嬉しいなって思う。
黄瀬:そうだね。
木野村:なんか冷やかしにきてるのかな?みたいなやつは流石に失礼だなって思うけど、こっちを理解しようとしてくれてるのかなって態度で来てくれるなら、その態度で自分も接したいと思う。
黄瀬:会話だしね。私もそう思います。
話せてよかったです本当に…なんかもう私最近すごい凹んでて。
木野村:かなしい。
黄瀬:アルバイトの履歴書の時も、「なんでこれ書かなきゃいけないんだろう?」って思ってたけど、同時に、「世の中多数派がそっちだし(って思ったり)」。「日によって性別変わるんです」みたいな言い方をすると「いや、気分でしょ」って否定のされ方をするし、「そう言われてしまったら仕方ない」と思っちゃう自分もいるから。
自分と同じ認識を広めていくことの難しさとか、自分が社会に対して参加できてない側だっていう自分に問題があるって意識を持っちゃうことも多々あって。
でも、こう言う会話の場で改めて言葉にできると「大丈夫だ」って思わせてもらえますね。
木野村:あったかいね。
ろきた:泣いちゃう。
全員:(笑)
木野村:メモリバ頑張ってください。
黄瀬:本当に頑張ってください。
ろきた:マジで頑張る。やる気元から高いけど、トップギアきた。
木野村:お時間ですか?
黄瀬:そろそろね。
ろきた:もうちょっと話したい…
木野村:虚無だね。虚無じゃない?
…と思わん?
2人:(笑)
木野村:これがダメなんだね。自分は虚無だと思う、この時間が終わることを。
ろきた:それな。扉を出たら現実世界だからね。
黄瀬:気温差が20度くらいあるよ(笑)
ろきた:ほんとにあるんじゃない?
木野村:まだ(収録部屋)出ても音環。キャンパス出た瞬間寒くなる。
黄瀬:酸素も薄くなる。
木野村:息できません。
黄瀬:強かに生きようね。
ろきた:(笑)
黄瀬:はい。今回はここまでかな。
このラジオは、別にマイノリティの代表をしたいとかではなくて、「こういう人もいるし、こういう人が発信している」ということが伝わったらいいなと。個人個人の話を聴いてもらいたいなというラジオでした。
他に言いたいことある?
木野村:音環だからね。
いろんな人がいるよって。
黄瀬:会話大事だよって(笑)
ろきた:おしゃべり大好きだから音環生。
黄瀬:はい、では今回のラジオはここまでです。2人ともありがとうございました〜!
2人:ありがとうございました〜。